TERARIN GAMES

Make New Shmups from Japan

Nintendo Switch版「ミサイルダンサー」について

f:id:genesis16bit:20200602172036j:plain

レジスタ様からNintendo Switch版「ミサイルダンサー」が発表されました。ずっと準備をしてきましたので、開発者としてとても嬉しく思います。

 

Nintendo Store「ミサイルダンサー」

https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000031079

 

PVはこちら


ミサイルダンサーは先にスマホ版、Steam版をリリースしていますので、ご存じの方もいるかと思いますが、あらためてどのような考えでこのゲームを作ったのか、そしてSwitch版の特徴について語りたいと思います。


■恐れるな、勇気をもって敵に近づけ!
ミサイルダンサーは、一見するとごく普通の縦スクロールシューティングのように見えますが、実際のプレイ感覚は大きく異なります。縦スクロールシューティングによくある、画面の下方で敵弾を避けながらショットを打って敵を倒すゲームではありません。ミサイルダンサーは、勇気をもって敵に近づいてロックオンしていくことが求められるゲームです。

 

■「ロックオンミサイル」と「バルカンショット」
自機には「ロックオンミサイル」と「バルカンショット」の2種類の武器が装備されています。敵を倒すには、敵に近づいてロックオンし、ミサイルを撃つ必要があります。画面の下方で逃げ回っていては、敵を倒すことはできません。
また、敵も自機に対してミサイルを撃ってきます。これに対抗し、自機の前方に発射されるバルカンショットで敵のミサイルを破壊することができます。ただし、バルカンショットは敵本体へのダメージを与えることができません。あくまでもミサイル迎撃用の武器となっています。

敵に近づいて積極的にロックオンして倒していかないと、敵の発射するミサイルに囲まれてピンチになります。リスクをとって敵に近づきロックオン、敵を破壊していけば、安全を得ることができます。このようにリスクとリターンを発生させることで、ゲームとしての駆け引きの面白さを打ち出しているのが特徴です。

f:id:genesis16bit:20200602174236p:plain

 

■シンプルなパワーアップ方式 復活も大丈夫!
自機はアイテムを取得することで武器をパワーアップします。
「RANGE」アイテムを取得すると、ロックオンカーソルのサイズが大きくなり、広範囲の敵をロックオンすることができるようになります。
「MISSILE」アイテムを取得すると、同時にロックオン可能(発射可能)なミサイルの数が増えます。
シンプルなパワーアップ方式なので、アイテムの取り間違えによるミスは発生しません。ただし、二人同時プレイの時は二人のバランスを考えてアイテムを譲り合った方が攻略しやすくなります。

「RANGE」と「MISSILE」のどちらもパワーアップすることで最大でレベル10になります。自機死亡時にパワーアップは初期化されますが、初期設定はレベル6なので、どんな局面で死んでも初期レベルでなんとか乗り越えられるようになっています。

 

■下から敵が現れる でも大丈夫!
一般的な縦スクロールシューティングは、原則として敵は上から現れます。たまに下から敵が現れることもありますが、あくまでもアクセントとして入ってくる程度です。しかしながら、ミサイルダンサーは、ほぼすべての敵が下から現れます(ヘリや戦車は除く)。
ミサイルダンサーは、実在の戦闘機に近い形状の自機や敵機が多く登場しますが、上方向にスクロールしている狭い画面内で、下方向に敵機が向かってくるというのはリアリティに欠けます。これを回避するために、基本的には自機も敵機も上方向を向いた状態での戦いを表現したいと考えました。
一般的なシューティングにおいては敵が下から出現するのは意地悪な行為です。しかし、ミサイルダンサーの場合、全方向に敵をロックオンすることができるため、下から敵が出てきても対処が可能です。敵も下方にいるときは攻撃することはほとんどなく、いったん上部に上がってからミサイルを撃ちますので、その前に敵機を撃墜することも可能です。
また、画面左側に表示されているレーダー探知機を使って、どの位置から敵が近づいているのかを確認することができるように工夫しています。

f:id:genesis16bit:20200602172533p:plain

 

■敵弾無し!はたしてシューティングとして成立するのか?
このゲームの最大の特徴は、敵の攻撃はミサイルのみで、敵弾が一切出てこないです。しかも敵のミサイルは自機のバルカンショットで破壊可能であるため、かならずしもミサイルを避ける必要は無く、ミサイルを破壊してしまえば良いのです。
現在のシューティングの主流となっている弾幕系とは別の形のシューティングを作ってみたいという思いから、このような敵弾が一切でてこないシューティングの制作にチャレンジしました。
作り始めた頃は、シューティングとして成立するのか不安がありました。敵弾が無いので普通に作ったら簡単なゲームになってしまいます。
そこで、敵ミサイルの発射数を増やして、しつこく追跡するようにしました。これにより敵のミサイルをバルカンショットで破壊するか、または振り切るかといった駆け引きの要素が生まれ、スリルを味わうことができるようになりました。何度も試行錯誤して最終的には上手いバランスに落とし込めたと思います。

 

■二人同時プレイ対応、おすそわけプレイ対応、ワイワイと盛り上がろう!
Switch版の追加要素として「二人同時プレイ」を実装しました。バランス調整については悩みましたが、結果的にはとてもシンプルな考えで実装しました。敵の配置や強さは、一人プレイ時と二人プレイ時で一切変化はありません。出現するアイテム数も変化はありません。一方でスコアと残機は共通にしています。
二人同時プレイは当然ながら攻撃面において有利です。しかしながら、パワーアップアイテムの出現数は一人プレイ時と同じなので、パワーアップのスピードが遅れます。残機数も同じなので、二人でミスを連発するとあっという間にゲームオーバーになります。したがって、一人プレイと二人同時プレイを比較した時に、かならずしも二人同時プレイの方が有利ということはありません。

二人同時プレイを追加した理由は、ゲームが上手い人も、苦手な人も一緒にワイワイと楽しんで欲しいと思ったからです。上手い人がリードして、もう一人をサポートする遊び方なんていうのも素敵なのではと思います。二人同時プレイは途中参加も可能です。Joy-Conのおすそわけプレイにも対応していますので、いつでもどこでも気軽に二人同時プレイができます。

f:id:genesis16bit:20200602172706p:plain

 

■ガジェット、縦画面対応
ミサイルダンサーのプレイ画面はアーケードの縦スクロールシューティングのように縦方向に長くなっています。左右にスペースが空くので、各種情報を表示するガジェットを用意しました。中央のプレイ画面には最小限のゲージ類のみを表示することで、プレイ画面の視認性を上げています。
また、オプションメニューから縦画面を選択することで、縦方向ディスプレイに合わせた表示に変更可能です。この場合、プレイ画面はディスプレイに合わせて大きく表示され、ガジェットは上下に移動します。アーケードの縦画面シューティングのような感覚でプレイすることができます。

f:id:genesis16bit:20200603012518p:plain

Switch本体に装着するアタッチメント「Flip Grip」を利用することもできます。外に持ち出せば目立つこと間違いなしです。

f:id:genesis16bit:20200602172433j:plain

 

■グラフィック
元のSteam版、スマホ版のグラフィックは私が描いたものですが、私自身の画力の問題もありシンプルなグラフィックでした。Switch版のグラフィックに関しては、もっと鮮やかなゲームにしたいと思いまして、ジェミニアームズと同様に天丸さんに描いて頂きました。90年代のシューティングゲームを髣髴するようなカッコよいグラフィックになり、魅力が大幅にアップしたと思います。天丸さんには左右のガジェットのデザインについても作成頂きました。また、一部のゲーム演出についてもご提案頂きました。

f:id:genesis16bit:20200603005433p:plain

 

■その他変更点
10か国語(日本語、英語、繫体中文、簡体中文、ハングル、イタリア語、ロシア語、スペイン語、フランス語、オランダ語)に対応しました。選択した言語に応じて、メニューの翻訳が画面下部に表示されます。
ミサイルの挙動を改善しました。またミサイルの自動発射については元々スマホを前提として実装していましたが、手動の方がミサイル発射の手ごたえを感じることができますので、自動発射は廃止にしました。
ステージセレクトは事実上の無限コンティニューになり、難易度を大幅に下げてしまうため廃止にしました。
全体的な難易度の調整を行いました。また、隠し要素等を盛り込んでいます。

f:id:genesis16bit:20200602172203p:plain

 

■影響を受けたゲーム
私は数多くのシューティングゲームをプレイしていますので、多くのゲームから少しずつ影響を受けています。ミサイルダンサーに登場するステージ構成や敵キャラに、その影響を感じる方がいるかもしれません。自由に想像して頂ければ嬉しいです。
ゲームのプレイ感覚としては、3Dシューティングの「アフターバーナーⅡ」から影響を受けています。全く異なるゲームではありますが、「敵をロックオンしてミサイルで撃墜。逃した敵から発射されたミサイルはバルカンで迎撃する。または避ける」という一連の流れがとても似ています。
ロックオンという観点では、代表的なロックオンシューティングであるレイフォースや蒼穹紅蓮隊の影響を受けています。プレイ感覚については意識的に差別化を図り、前述の通り、このゲーム独自の特徴的なシステムを採用しています。

 

■作者より

ゲームタイトル「ミサイルダンサー」は、ニコ生でシューティングゲームの配信をされているリュークさんに命名して頂いたものです。

音楽についてはSteam版、スマホ版から引き続きKomikuさんの曲を使わさせて頂いています。
Switch版のメインフォントは、患者長ひっくさんのフォントを使用させて頂きました。ピクセルアートスタイルのゲーム向けに作られたとても魅力的なフォントです。主にメニューやスコア表示に適用しています。

また、Steam版、スマホ版のミサイルダンサーを遊んでくれた多くの方々のおかげで、今回のSwitch版のリリースにつながりました。レビューもして頂きありがとうございます。

そして、Switch版のミサイルダンサーは、数多くのゲームの販売・開発経験のあるレジスタの皆様と、グラフィックを担当して頂いた天丸さんとの協業によって完成することができました。

皆様、ありがとうございました。

大幅にパワーアップしたNintendo Switch版ミサイルダンサーをぜひお楽しみください。 

 

 以下の記事もぜひご覧ください。

 

 

© TERARIN GAMES