先日リリースしたムーンストライカーについて、振り返りながら、色々と書きたいと思います。
■ゲーム制作のきっかけ
ムーンストライカーの製作は、今年1月から開始し、約2ヶ月半でリリースしました。前作イメージストライカーはサイバーな雰囲気で、イメージファイトをオマージュした、ステージギミック満載のシューティングゲームですが、次はもっとスピード感のある爽快なシューティング、たとえばザナックやアレスタのような武器をアイテムで切り替えるゲームを作りたいなと考え、設計書を描いていました。
それが、途中でなぜかロックオンレーザーのシューティングゲームに変わったのかというと、ちょうど正月にPS版のレイクライシスをプレイして、(レイフォース、レイストームは過去に沢山プレイしていたのですが、レイクライシスは初)ロックオンレーザー面白いなあと、あららめて感じたのがきっかけです。
沢山ある武器の一つとしてロックオンレーザーを作ってみたのですが、他とくらべて圧倒的に強い武器になってしまったので、それじゃあもうロックオンレーザーのみのゲームにしてしまおうかと、方針転換をしました。
■ロックオンレーザーの仕様
ロックオンレーザーのシューティングを作るにあたって、レイシリーズを参考にしたのですが、結果的には異なる実装になりました。レイシリーズは複数ロックオン後、同時に複数レーザーを発射し、ほぼ同時に敵に着弾する気持ちよさのあるゲームです。一方、ムーンストライカーは複数ロックオン後、レーザーを段階的に発射するようにしており、連続発射、連続破壊の気持ちよさの方を取っています。
また、レイストームとレイクライシスはゲーム開始時にレーザーの手動発射と自動発射のどちらかかを選択でき、手動発射は2つ目のボタンを押すことで発動、自動発射はロックオンしたら直ちに発射するようになっています。一方ムーンストライカーは、手動発射と自動発射の選択をすることは出来ません。自機の最大ロックオン可能数に達するか、または敵毎に設定されている最大ロックオン数に到達したタイミング、または一定時間経過した後で自動発射されます。これは、スマホでの操作を想定し、片手操作だけでも、気持ちよく連続ロック、連続発射、連続破壊を楽しめるように配慮した仕様です。
また、自動発射のタイミングを待たずに、任意のタイミングでレーザーを発射できるようにもしています。スマホの場合は指を離す、または二本目の指でタップ、PCの場合は、ボタンを離す、または別のボタンを押す、またはマウスの右クリックで発射されます。複数の操作に対応させ、直感的に操作できるようにしました。初心者は自動発射でプレイでき、上級者は任意のタイミングで発射できるようすることで、幅広いプレイヤー層に楽しんでいただけるように考えて作りました。
■操作のこだわり
最低限、スマホ版は指一つ、PC版はボタン一つで操作できる仕様にこだわりました。このゲームに操作説明を入れていないのは、説明しなくても直感で操作が分かるゲームにしたかったためです。このあたりは、自分が元システム開発者であり、操作説明不要のシステムこそが良いシステムであるという考えが反映されています。
スマホとPCでは操作方法が異なるため、実装面ではどちらの操作も可能な状態にしています。その結果、Windows版でプレイする場合も、マウス操作が可能で、タッチパネル付きのWindows端末であればタッチ操作も可能です。逆にスマホでプレイする場合も、実はゲームパッドでプレイができるようになっています。
■パワーアップ
ロックオンレーザーの最大ロック数は初期は5、アイテム取得により最大15になります。ところが最大ロック数を増やしてもゲームとしてはそれほど有利になるわけではありません。レーザーを発射後に間髪入れずに次のロックをできるようにしているため、最大ロック数が少なくても、全く問題なく戦うことが出来るゲームバランスとしています。
一般的に強力なパワーアップができるシューティングゲームは、復活時に武装が初期化され、厳しい状況に追い込まれるため、一度ミスするとゲームを最初からやり直した方が良いという状態になってしまいます。それはさすがにストレスが溜まりますのでパワーアップは無しにしようと当初考えていました。
しかしながら一方でアイテムを取ることの気持ちよさも捨てがたいです。そこで、アイテム取得によってロックオン数は増やすことができるのですが、ゲームバランス的には初期装備でも問題なしという仕様にしました。
最大ロック数を増やすことが全く無駄というわけではなく、連続ロックオンによるスコアアップには有利になりますので、ハイスコアを狙う人にとってはパワーアップをした方が良い仕様となっています。
■標準ショットの敵弾消し
標準ショットで敵弾を破壊できるようにしました。このゲームは弾除けよりも、いかに積極的に敵をロックオンして破壊できるかを楽しむゲームにしたかったためです。ただし、標準ショットはパワーアップなし、地上敵への攻撃も出来ない弱体仕様となっています。したがって、敵を倒すには敵に近づいてロックオンする必要があります。
この仕様により、標準ショットによる敵弾消しを使って、勇気をもって前に進みロックオンをしかける、というゲームに仕上げることが出来ました。
■演出
このゲームは過去の名作シューティングの演出をオマージュしています。ちょっとやりすぎた感もあるのですが、自分としては、オマージュした方がプレイしていて楽しいので、きっとみんなも楽しんでくれるのではと、このような演出を取り込みました。エリア毎にオマージュ先が異なりますが、ゲーム全体として統一感があるように気を配ってグラフィックを描いています。
またエリア毎に基調カラー(青、千草色、黄、茶、緑、赤、紫)を分けることで、ステージ毎の印象が残るようにしています。特に黄色を背景としたエリア3は、ゲームとしては見づらくなるため、ゲーム製作のセオリーを無視しているものです。が、あえてセオリーを無視して黄色にしてみました。宇宙空間が黄色というのはありえないのですが、ムーン=月=黄色というイメージを入れたかったのです。
それと、全てのエリアについて宇宙空間に統一しています。地上の敵(戦車)も出したかったので、エリア5の戦車ステージは無理やりコロニー内部という設定にしたり、オマージュー先とは微妙に設定が異なるのですが、影響されているなと分かるような演出を盛り込みました。
ところで、このゲームがどれだけの数のゲームをオマージュしているか、正確にわかる人はいますでしょうか。レイフォース、ゼビウス、スターソルジャー、ザナック、雷電くらいまでは分かると思いますが、それ以外にも少しずつ入っています。色々混ざっているので、正確に把握するのは難しいのではと思います。
■プログラミング、開発ツール
プログラミングは得意分野で、自分自身ハッカー的な仕事をしているということもあり、主要なプログラミング言語は全てマスターしています。ただし、ゲーム製作については素人なので、いつもGameMaker Studio(以下、GMS)をつかってゲームを作っています。
GMSは2Dゲームを作るための基本的な機能を持っています。たとえばバックグラウンド処理、スプライト、オブジェクトの当たり判定、などです。それと、GUIによる実装から、コードによる実装まで対応しているため、初心者から上級者まで幅広く利用できる良い開発ツールだと思います。一つ難点を挙げれば、日本語に対応していなくて、日本語情報が少ないのですが、一方で英語の情報は大量にありますので、何かつまづいても英語で検索すればほぼ問題解決できるのは強みではないかとおもます。
シューティングゲーム作りの部分は、独学で試行錯誤しながら作っています。ゲームプログラミングのセオリー的なものは全く知らないのですが、ゲームは沢山プレイしていて、プログラミング思考はできますので、頭の中でこう実装したら実現できるのではと想像しながら実装しています。これはとても楽しい作業です。
■グラフィック
グラフィックについてはEDGEというドット絵製作ツールで作っています。またGMSにもグラフィックツールが内蔵されているので、簡単な修正はGMS内でやっています。自分は普段絵を書かないので、グラフィックが一番苦戦したところかもしれません。かっこよいグラフィックは作れないため、直線的なものや丸のみで作ったものがどうしても多くなってしまいます。不得意分野であると認識していますのでシンプルなグラフィックにしています。今後はもう少し上達をめざすべきか、またはグラフィッカーと組んで、オリジナルでかっこいいグラフィックのゲームを作ってみたいです。
■音楽
音楽については、自分は現時点では全く作れませんので、今回は PANICPUMPKINさんの音楽を利用させていただきました。大変素晴らしい曲ばかりで、今回のゲームの雰囲気ともマッチているのではと思います。ゲームの雰囲気と音楽は密接なものだと思いますので、今後は自分で音楽も作れるように、少し勉強しようかなと考えています。
■キャラバンモード
3分間でハイスコアを目指すキャラバンモードを搭載しました。キャラバンという名称は、かつてのハドソンのキャラバンシューティングから取っています。敵は早回しで出現し、スターソルジャーのラザロ、デライラを参考したボーナスも用意しています。
このキャラバンモードについて、当初はスターソルジャーのように地上ブロックを大量破壊するものを考えていたのですが、どうやら大量の地上ブロックはロックオンレーザーとの相性が悪く爽快感に欠けるため、地上ブロック破壊のステージ構成はあきらめました。空中敵をメインにしながらも、ハイスコアを狙うための要素を多く入れることで、プレイの仕方次第でスコアが激変する仕様としました。
2体目のボスはスコア稼ぎができるボスのなのですが、プレイ時間3分間という時間制限がありますので、どこまで粘るか、またはさっさと倒して次に出てくるボーナスを狙うかなど、選択の幅を持たせるようにしています。
■難易度、スコア
ゲームの面白さの一つとして、ストレスを快感に変化させるというのがあると思います。ムーンストライカーは、重要な要素であるストレス面をあえて極力排除し、できるだけ理不尽な死に方がないように配慮しています。ただし、あまりにもストレスを排除してしまうと、ゲームとして成り立たなくなってしまいますので、ゲームとして成立しうる、ぎりぎりのところを狙って難易度調整を行っています。
ゲームクリア自体は簡単ですが、スコア稼ぎの要素を沢山盛り込むことで、上級者はクリア後もスコアアタックを楽しめるようにしています。難易度はEASY、NORMAL、HARDと3段階用意し、敵の硬さ、弾のスピード、敵の出現数が異なります。ただし、編隊として現れるザコ敵については、ロックオンレーザーで一掃する快感を得られるように、全ての難易度で敵の硬さはほぼ共通にしています。
スコアの記録は難易度別にはなっておらず共通です。敵は硬い方(難易度が高い方)がスコアは高くなりますが、倒しづらくもありますので、かならずしもHARDがスコア稼ぎに有利とは限りません。自分に合った難易度を試してみると良いかと思います。
エリアを一度クリアすると、ゲームを終了しても続きのエリアから開始できるようにしているため初心者でもゲームクリアが可能です。エリアのクリア判定は難易度共通になっていますので、EASYで進めて、HARDで最終面にチャレンジすることもできます。ただし、ハイスコアを目指すのであれば、最初のエリアからプレイする必要があります。
■褒めて伸ばす
前作と同様なのですが、このゲームは褒めて伸ばすという教育方針?を持っていまして、ことあるごとにGood!やExcellent!を表示させています。人はちょっとしたことであっても褒められると嬉しく感じるものなので、たとえば編隊を全部倒せば褒められる、ボスを倒せば褒められる、ボーナスを出せば気持ち良い音がなる、というように、とにかく褒めちぎるゲームとなっています。
■隠し要素
今作には隠し要素を2つ入れています。一つは、いきなりパワーアップ、もうひとつは隠しエリア(ボーナスステージ)です。隠しエリアはスターフォース風の見た目になっています。まだ見つけていない方はぜひ探してみてください。
■価格
買い切り120円、広告なし、アイテム課金なしとしています。趣味で作っているゲームなので無料でも良かったのですが、自分自身の勉強のために、今回は有料にしてみました。
個人でのゲーム製作であってもコストはかかっており、その作品に少しでも価値のあるものであれば、有料であるのが正しい姿なのではと思います。自分のアプリは別に無料でもいいのですが、世の中的にちゃんとゲームにお金が支払われる状態になるべきではないかと思っています。
広告やアイテム課金という考えもあるのは分かりますが、自分自身がオールドタイプのゲーマーなので、買い切りの方が作品に対する対価という形が一番分かりやすいのではと考えてしまいます。
■提供プラットフォーム
iPhone/iPad、Android、Windowsと、マルチプラットフォームに対応しています。GameMaker Studioはマルチプラットフォーム出力に対応している(別途モジュール購入が必要)ため、簡単に対応することができました。日本ではiPhoneユーザー、海外ではAndroidユーザーが多いので、多くの人にプレイしてもらうためには、AppStoreとGooglePlayの両方で出す必要があります。
また、PCで遊びたいというPCゲーマーもいると思いますので、Windows版も用意しました。Windows版はitch.ioに登録しています。itch.ioを使えばWindows版も有料販売が簡単にできます。
■評価
少数ではありますが、このゲームを気に入ってくれて、熱心にプレイして頂いているユーザがいることに大変感謝しております。たとえ1人でも楽しんで頂けるのであれば、作者としては大変嬉しいものです。元々、自分はゲーム開発のプロではありませんし、あくまでも自分がプレイしたいものを趣味で作っているだけですので、これで十分満足です。
また、パクリであるとのご指摘がありました。シューティング愛を純粋に盛り込んだ結果ではありますが、そう思われてしまうことは否定しません。もし著作権を持つ方から、問題があるとの連絡があれば配信停止します。
本作は、とにかくゲームとして面白くするために、今できることを最大限に駆使した作品であるため、ゲームとして面白いか、つまらないか、また可能であればまたその理由についてコメントしていただけるとありがたいです。今後の作品に活かしたいのでプレイした感想をGooglePlay AppStoreのレビューにご記入頂きたく、よろしくお願いします。
■プロモーション
プロモーションについては、どうすれば良いのか分からず全く出来ていません。今回iPhoneアプリのレビューサイトであるゲームキャストさんがたまたまこのゲームを見つけて、レビューして頂いたおかげで、iPhone版については、瞬発的にはダウンロードしていただきました。ただし、その後は失速してしまいました。Android版に至っては、最初から今に至るまで全然ダウンロードされていません。APPLIONさんのランキングでは一時期なぜか縦スクロールシューティングの一位をとりましたが、残念ながらダウンロードは全然されませんでした。また、英語の説明文を充実させることで、海外からのダウンロードを期待したのですが、結果としてはほとんどダウンロードされていません。
ゲームの質の問題はもちろんありますが、レビューいただいたiPhone版のみダウンロードが増え、Android版が伸びなかったことから考えると、知名度や露出にも問題があるのではと思いました。このあたりは、ノウハウのある人と情報交換ができればなと思います。
■最後に
プレイして頂いた全てのユーザーに感謝いたします。また次回作について考え今後もゲームを作っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。